大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

仙台家庭裁判所 昭和57年(少ハ)3号 決定

少年 E・K(昭三七・六・二七生)

主文

本件申請を却下する。

理由

(申請の要旨)

本人は、昭和五六年一二月二四日当庁において医療少年院に戻して収容する旨の決定を受け、翌二五日関東医療少年院に収容され、昭和五七年六月二七日に満二〇歳に達する。

本人の少年院内における生活態度は、入院当初はふまじめであつたが、昭和五七年三月初旬から徐々に落ち着き、自分の担当する活動にも積極的にとり組むようになつた。しかしながら、寮内生活場面では他院生との接触が少なく、対人関係でとけ込めない傾向がうかがえ、表情がやや暗く覇気が乏しくなつてきている面があり、また、帰住先の父母も未だ経済的に不安定な面等があり、帰住先についての調整も必要である。

以上の事情から、出院後の保護観察期間を含めて、昭和五七年六月二七日から昭和五八年三月二六日までの九ヵ月間の収容継続決定を求める。

(当裁判所の判断)

本件申請は、昭和五六年一二月二四日の戻し収容決定について、主文にも理由中にも戻し収容期間の明示がないので、本人の収容期間を本人が満二〇歳に至る前日の昭和五七年六月二六日までとの見解に立ち、なされていることが明白であるが、戻し収容決定も新たな処分であるから少年院法一一条一項但書の適用があり、本人の収容期間は昭和五七年一二月二三日までと解するのが相当である。

したがつて、収容継続が必要か否かは今後の本人の処遇状況を見た上でなければ判断できず、本件申請は時期尚早であり、収容継続を相当とする事由がない。

よって、本件申請を不適法として却下する。

(裁判官 新井慶有)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例